GOLDに付属する便利プラグイン「MV2」
さて12回目です。今回フォーカスするのは「MV2」ですね。
「MV2」は「とにかく音が太くなってほしいだけなんだけど?」という方にはぴったりで正直シャドートラックなどには結構使われてる人も多いんじゃ?と思うダイナミクス系のプラグインです。いわば簡易系コンプですね。
使い方がとてもシンプルなのに、自然にコンプ感がでてくれて本当に便利なプラグインです。
このエフェクターは、低音と高音にまたがるQ幅のとてもゆるい2バンドのマルチバンドコンプのような挙動を二つのフェーダーだけで操作できる優れものです。
つまり、アタックもリリースもレシオもオートで設定され、ユーザーはかかり方を聞きながらスレッショルドだけ設定してやるイメージです。
あとは低音側と高音側を双方操作して、かかり具合を見ていくだけです。とってもわかりやすい!
では実際にどんな質感か聞いてみてください。
原曲
ちなみにギターは自前でRECして、ベースはMODObass、ドラムはSD3のデフォルトキットそのままです。
すべて「MV2」でダイナミクス処理
- リードギター【Low:15.5/HIGH:2/OUT:0】
- サイドギター【Low:11.5/HIGH:4/OUT:0】
- ベース【Low:23/HIGH:6/OUT:-4】
- ドラムバス【Low:6/HIGH:6/OUT:0】
いかがでしょうか?「MV2」の処理以外フェーダーバランスから何から一切変えていません。めちゃくちゃ簡単にコンプ処理が終わってしまいます。もし原音の音量レベルに戻すのならばあとはここからMV2のアウトプットを調整してやってもいですし、このままEQかけてもう一度フェーダーバランスを取り直してもいいと思います。
ぼこっと音圧感を感じてもらえると思います。これならEQ処理でどこを切るかもわかりやすいのではないかと思います。
非常に簡単にコンプレッションできるので便利なツールですし、最も単純なインアウトコンプの雰囲気だけ欲しいという方には未だに最高のツールといってもいいかもしれません。
オススメだけど、万能とまではいかない
「MV2」はあまりミックス作業に時間を取られたくない方には非常におすすめのダイナミクス系プラグインではありますが、もちろん弱点があります。
今回はサンプルが短いのでそこまで不自然には感じませんが、このプラグインは楽器の音色や元々のダイナミクスレンジの開きによってはトラックを安定させ切るのが難しいプラグインです。
その大きな要因としてやはり、アタックとリリースが完全に自動だという点が挙げられます。特に今回のトラックでもドラムに注視していただくと分かりやすいですがかなりアタックがそろっています。
もちろんパッとしていいのですが、個人的にはもう少しアタック遅めにして金物とスネアを生っぽくしたいなぁと感じます。
そういった時でもやはり「MV2」だけだと調整が難しいですね。
逆に言うと今回のように全部のトラックのダイナミクス処理をこのプラグインでやってしまうと全部のトラックのコンプ感が嫌でも統一されていきます。
必然的に機械的なニュアンスになっていくと思います。その点は注意した方がよいのかなぁと個人的には思います。
シャドートラックにはオススメです。
こいつの使いどころははやっぱり、バッキングやあんまり目立たない音だけどそのままだと音量差がありすぎる。というようなモノへの使用が個人的にはオススメです。
あんまり聞こえない、メインパートでないからこそ、低音と高音のつぶし方ひとつで印象が変わると思いますので見えないところにもしっかり気を使えるプラグインだと思います。
またこいつのかかり方は、聞いた感じ早めに優しくかかる印象があるので素材の空気感が非常に強調されやすい印象を受けます。
ですので、どーも音場が狭いかんじがするが…でもこれ以上空間系は増やしたくない!というときにこそ、バッキングやアンビエント系のトラックに刺してみてください。
それでは今回はここまでです。また次回お会いしましょう。