GOLDに付属する強力な空間系プラグイン
第六回目ですね。先延ばしにしてた空間系やっていきます。空間系は豊富にバンドルされている上に、曲の質感を左右する要素のですので好みが大きく分かれるところでもあると思います。
GOLDバンドルにバンドルされている空間系
- Renaissance Reverb
- TrueVerb
- IR-L Convolution Reverb
- H-Delay Hybrid Delay
- SuperTap
- S1 Stereo Imager
まずはリバーブ系の各特色と概要
大きく分けて3種類ですね。「R-Rvb」「IR-L」「T-Rvb」というラインナップです。まずこの中で突出して使いやすいのが「R-Rvb」です。
「R-Rvb」
特徴はなんと言ってもそのクリアネスにあると思います。Waves系のリバーブプラグインのなかでもトップレベルの透明感と何よりも豊富なリバーブテイルによってコレ一つで色々な空間成分のつけ方が出来ます。もちろんドライウエットも完備されていますのでセンドリターンもインサートもどちらでも好きなようにルーティングしていけるのも良い点です。
またすべての音が基本的にヴィンテージ志向となっており、(Rシリーズ共通概念)アナログ楽器との相性もバッチリです。
それに良い点として、アナログ志向となってはいますが露骨なノイズ感などは一切無いのでジャンル問わずイメージどおりの質感に仕上げやすいのも特徴です。
おそらくは単品での人気も高いプラグインだと思われ、値段も中々下がりきらない印象があるので今のGOLDバンドルの値段を考慮すると、バンドルされているプラグインの中で最もお得に買える品でもあります。このリバーブがとりあえずあれば何とかなる!というだけのポテンシャルを秘めています。
「T-Rvb」
デジタル志向のリバーブです。私も昔はたまに挿していましたがコレに変わる系のリバーブが増えてきているのが実情だと思います。
「T-Rvb」の難点は重要なパラメーターの表示が小さく個人的に操作しづらいところにあります。
また、ルーティングセレクト(ダイレクト/ドライウエット/リバーブダイレクト)などをユーザー側で緻密にミックスできるようになっているのですが、反面設定をイチイチしなければならないのでちょっと使いづらいと言うのが個人的な感想です。
サウンドの質は、とにかくナチュラルを意識して作られていますので、原音を忠実に鳴らしたい場合や、ルームシュミとして音を太くするような意味で使うのが効果的かと思います。
「IR-L」
実際の反響のデータを用いて現実世界の空間反響を出すのがコンボリューションリバーブと呼ばれるリバーブで、まさにコレがそうです。別途IRライブラリーをDLすることで様々な残響を楽しむことができます。
しかしながらこのリバーブは「IR-1]パラメーターを簡素化した簡易版です。微調整を行なうことが出来ないのと、リバーブに対して別口でEQを用意する必要があるなど若干初心者さんには使いにくいのが難点です。
また用途は一応インサートも考慮された仕様になっていますがコンボリューションという性質上センドリターンに限定した方が音はまとまりやすいと思います。
編成の少ない楽曲にはたまに私も使いますが、正直複雑な楽曲にはあまり向かないプラグインだとなと感じるのと「IRライブラリ」が面白ネタ系(どこかの洞窟の中的なモノ)も含むため、自分が欲しい残響感を探しにくいのも弱点の一つです。
実際の音で確認していこう
変幻自在の「R-Rvb」からいくつかご紹介
:プレートリバーブ1を使った芯のある音:
こちらはプリセット「Medium Dark Plate」をベースにダークじゃなくかなりブライトな印象になるようパラメーターを修正したものです。

センドリターンでセンド量は大体Cubase上の数値で-8前後です。実に綺麗な音だと覆います。ピアノにプレートは結構面白くて芯の強い音になるのでしっかり和音感を出したいときなどに使います。また広がりをつけないようにすることでMONOマイクでアンビエントを出したような音になるのも好きな理由の一つです。ただし、ヴォーカルにも重いプレートサウンドを合わせる場合はホール系のほうがよいと思います。
:ピアノへの標準的アプローチミディアムホール系の音:

こちらもプリセットからの加工です。残響の衰退速度を上げ、広がりもやや押さえることで広すぎないホール系の空間をまとわせて見ました。センド量はー5ぐらいです。
非常にナチュラルです。また空間成分が増えましたので音のレイヤー感の後退具合もいい感じです。弾き語りを支えるにはこのくらいの距離感が気持ちいいのではないでしょうか?
「T-Rvb」はインサートして使ってみます。

ん~正直インサートして使ったことは数えるくらいしかありませんが、改めてちゃんと検証すると正直プラグインの干渉がかなり強い印象があります。一応リバーブ内のEQはフルフラットにしていますが・・・もしかするとリバーブの響き方などのパラメーターが原音にも影響しているかもしかしたら位相のぶつかりで消えている帯域があるかもしれませんね。
聞いていただいたとおりインサートした場合、原音に乗せたアナログ感とTHDがぐっと減る感じがします。確かに残響そのものは本当に自然についています。一応パラメーターの設定としてはかなり小さめのルーム系のシュミレートになっています。一ついい点があるとするとリバーブ感がありながらハイが綺麗に抑えられているように聞こえますので他のトラック以上に目立って欲しくないがステレオイメージを稼ぎたい時などにはこういった音も使えそうです。
最後は「IR-L」で変り種データで遊んでみる
紹介したのは1%にも満たない使い方の一例
はい。リバーブ編いかがだったでしょうか?このバンドルだけでも空間成分の可能性は無限に近いです。すべてのパラメーターをざっくり区切って使ったとしても1000通りぐらいは耳で聞いて判断できるほどの違う種類の響きが簡単に生み出せると思います。
空間成分のお話は記事にも動画にもしていませんが、Mixのステレオ感、音量感を左右するとても大切なモノであると同時に一瞬で音質をがらりと変化させられるので、個人的にとても楽しい作業です。
今日ではDAW付属のリバーブもリッチなものが増えてきましたが、やはりWAVES定番の響きが手元にあると着想から煮詰め作業まで楽になったり精度の高いものが出やすくなると思います。
このあたりの詳しい話はやり始めるとディープすぎる話になりますので、気になる方はレッスンをご検討いただければと思います。
では次回はディレイ系をまとめていきます。愛用者が非常に多いイメージがある「H-Delay」を重点的にやりましょう。私も良く使うディレイです。
それではまたお会いしたいと思います!お楽しみに!