Vitamin Sonic Enhancerとはなにか?
第五回目は「Vitamin Sonic Enhancer」をやります。このプラグインは後日追加になった比較的新しいプラグインですね。
「Vitamin Sonic Enhancer」は、簡単にいうとインアウト型の簡易コンプ付きエンハンサーです。
エンハンサーとは、倍音を調整して音を煌びやかにするためのエフェクトです。多くのハイファイサウンドには現在欠かせないプラグインとなりました。
この「Vitamin Sonic Enhancer」はそれにインアウト型のコンプをエフェクトの文字通りインとアウトにルーティングし、その間でエンハンサー処理を行なってしまおうと言うとても意欲的なプラグインです。もちろん総じてバンド型のEQとしても機能するわけですが、ハイファイにしたいなら私はこの後に仕上げのEQを入れることが多いです。
では今回も前回からのピアノサンプルを使いニュアンスを見ていきます。
と、その前にピアノにこうしたエンハンサーをかけるメリットから解説しておきます。今回は厳密には「ピアノ音源」にかけています。生系のピアノサンプルにかける場合とは少しニュアンスが変わります。
サンプルプレイバックで特に和音がなる楽器の場合、高級な音源であっても共振による本当に自然な倍音の発生と言うのはシュミレートしずらいと言われています。そういうときに外部で統一化した倍音を混ぜることでパートそのものが浮きにくくなる効果が期待できます。(よく生録とのすり合わせに困っている人はお試し頂きたい。)
それではやっていきます。まずはシンプルに倍音をを補強し、ダイレクトとのバランスだけを取っていきます。
一般的なエンハンスミックスの質感を確かめる
Vitamin Sonic Enhancerの真価が出るのは空間成分と合わせる時
結構便利な「Vitamin」ですが、実は真のよさが出るのは空間成分とあわせる時ですね。当たり前の話ですが元の音に大量の倍音があれば当然リバーブのノリは良くなります。後は欲しいだけEQで切ってやればいいだけなので非常に楽です。
一部音源のリバーブには元音に馴染むようにワザとこうした処理が盛り込まれていると思われるリバーブがたまにあります。逆にそれらが無い統合系音源の場合はどうしてもリバーブをかけると露骨に聞こえる場合もあると思います。
そんな時にはエンハンシングを事前に行なうことで、音馴染み良くすることができます。特に私の感覚だとルーム系の広さの質感にしたいが、どうもそれだとリッチに聞こえないなんて時に便利です。
エンハンシング後更にEQで整えて空間成分をのせる。
:Vitamin処理後リバーブをあわせEQで微調整した音源:
明らかに後者の方がナチュラルな表現になっていると思います。原音の方は迫力はありますがやはり直でリバーブがかかっているカンジがすごいです。またコンプ処理などもしていないのでダイナミクスレンジがリバーブが足されたことににより顕著になった印象を受けます。もちろんこちらも面白いですが、一般的にトラックなじみを考えると後者の方がよいのではないでしょうか?
と言ったところで今回はおしまいです。はやりエンハンシングは空間成分の前か後かで方向性を大きく変化させるエフェクトだと思います。またマスターやバスにかけるときはもう少し緻密な設定の方がよいでしょう。
次回は保留状態にしていたGOLDの空間成分系プラグインに切り込みます。もしかしたら1記事では終わらない可能性がありますのでご了承を。
ではまたお会いしましょう。