コンプの必要性
2017年追記最近出した動画が好評です。
はい、今回は「コンプレッサー(コンプ)の使い方や効果がわかりません。使う必要はあるんですか?」と言う質問に答えてみたいと思います。
コンプが必要かどうかは、原音がどうなっているかによります。またエンジニアさんの志向にもよるところがあります。
例えば、MIDI打ち込みでヴェロシティをコントロールして音量が極めてナチュラルでしかも綺麗に発音されている場合などはコンプは必要なく、EQだけとか最悪そのままでも全然いける!と言うことも考えられます。
逆に言うとMID打ち込み主体の場合、コンプが不必要なほど整った音がでやすいので効果を得にくく、リミッターで音圧だけ稼げばOKな場合もあるとおもいます。
ですが実音を録音したデータはそうは行きません。感情の高ぶりや運指のやり方によってどうしても著しく音量が大きいところと小さいところの差が明確に出る場合があります。
これでは、トラックを通して一定した音量や音圧が保てません。結果時間軸の変化で音量的うねりを生じるため非常に聞きにくいのです。
そのため、そのままのトラックを重ねてしまうと、不自然に音が大きく固まりになって聞こえる部分と、そうで無い部分があるにも関わらず音楽的な成分は変らないという不自然な状態になります。
その結果、一部だけ聞き取りにくいパートがあったり、ボーカルパートがサビの途中から急に小さくなったりするなど問題が起きてしまう可能性があります。
それでは困るので登場するのがこのコンプレッサーと言うエフェクトなのです。
丸覚えするしかないコンプのパラメータ名と効果
では、実際コンプをかける上で覚えておかなければならない用語を覚えておきます。
ソフトウエアエフェクトプラグイン(以降:FXと略)の場合、昔ながらのアナログコンプをモデリングしたものや、詳細な動きが分かるもの、極限までパラメータを減らしたものなどがあります。
まず、使うコンプの仕様がどうなっているのか知る必要があります。もちろん見た目で一目瞭然なのですが、見分け方を知るためには最低限のコンプの知識を覚えていきましょう。
スレッショルド(threshold)とレシオ(ratio)
スレッショルドは、コンプの効果が「かかる」か「かからない」かのボーダーラインののことです。このスレッショルドを越える大きな音の部分が、レシオというパラメータで設定した比率によって圧縮されます。この比率はもちろん数値が大きくなればなるほど高圧縮状態になります。例えば8:1という数値の場合は、スレッショルドを越えた音量がその超えた量を対象に8分の1になるように圧縮するという意味になります。
ゲインリダクション(GR)
もっとも重要なパラメータです。音量というものは人間一定では聞けません。うるさい所にいればなれますし、静かになれば普段聞こえない音まで聞こえるようになってきますよね?
となると音量を操作するコンプレッシングにおいても、やはり目視出来る数値やゲージ/メーターなどで、だいたいの目安をつけたり、かかり具合を比較したりするのにそういったことが分かるパラメーターが欲しくなるわけです。
「ゲインリダクション」とは、まさにその「原音がどの程度圧縮されたのか?」というのを数値化した指針です。
次の画像はWaves社の「RComp」という定番中の定番コンプのFX操作画面です。
上記画像の赤枠のなかが、リダクションのゲージです。下の小さな数字が、圧縮のピーク時(最大値)のリダクション量を表しています。
つまりこの表記をみると、このコンプが掛かっているトラックの最大圧縮量は「-2.8db」のようですね。
Waves社の「RComp」については、他サイトにてレビュー掲載を依頼された経験があります。http://dtmreview.com/waves-renaissance-4171.htmlにて掲載されています。
アタックタイムとリリースタイム
スレッショルド(スレショ)とレシオの次は、アタックタイム(アタック)とリリースタイム(リリース)です。
スレショとレシオを日本語で簡単に言いますと、境界線と圧縮率と言うことになります。これは音量レベルに対してのパラメータです。このアタックとリリースは「コンプの効果時間」を決めます。
これは図式に直してもちょっと分かりにくいのですが・・・。こんなイメージです。
このアタックとリリースは、表現がすごく難しいパラメータです。
そもそも、楽器の音色には音の立ち上がりが非常に重要なのです。それゆえただ単純に、スレショを越えた音をすぐにつぶしてしまうとリミッターをかけたように頭打ちしたような音しか作れなくなってしまいます。
また、余韻はその楽器の空間的特性を表す大事な要因です。
それらをどうコントロールするかがこのパラメータによって決まります。またこの数値はコンプによってまちまちで、同じms値にしていてもコンプの種類で随分掛かり方が変る場合があります。
またコンプによってはすでにアタックやリリースは固定値になっている場合もあります。
ニー(Knee)
ニーとは、コンプの掛かり方のニュアンスを決めるパラメータです。
この値はコンプの特性に大きく依存するため、固定値として設定項目にないコンプも多いです。優しくソフトに掛かるコンプをソフトニー、逆に硬いものをハードニーといったりします。
もし使用しているコンプに、Kneeとあれば掛かり方を変えられるタイプだと思ってください。SONARシリーズについてくるソニタスFXのコンプには確かついていましたね。
エレクトロコンプ/オプトコンプ
これはコンプの種類です。
この詳細については、エンジニアさんの意見も結構違ってきます。
私の主観で言うならば、エレクトロは楽器系に向いており、しっかりとした効きを得やすいというイメージがあります。オプトコンプは逆にヴォーカルなどに重宝する印象があります。コンプの効きが、軽く全体的にしかっかりコンプしても変調等を引き起こしにくい印象があります。
次回は実際に設定画面と音源で目と耳でやってみます。
次回は、実際に設定画面やコンプの質を検証してみたいと思います。
私はまだ主にWAVESを中心に使っていますので、DAWはCubase8の環境も使いながらやってみます。