北欧の世界を感じるために
2017年追記:ケルト系サウンド新作です。
この記事から大分進化したはずです!よりリアルなサウンドも作成可能になりました!
はい、お待たせしました。ケルトの傾向をもつ曲の公開と簡単な楽曲分析でポイントを解説していきます。
民族音楽系の専門音源が欲しくなってきました。
曲名は「ケルティク」と名づけました。
「ケルティク」と名づけました。楽しんでいただければ。
いかがでしょうか!?ジグと言うリズムを参考に書いてみました。
ミックスは、今回は空間成分を少なくしてセンドでバランスを取りました。凛と聞こえさせたいと思いましたので低音成分をすこし多めにだして対比をとってみました。
ケルトサウンドのポイント
では、日本語ではなかなか情報を集めるのに苦労しました・・・。
そもそも、ケルト(アイリッシュ)などの音楽は地域性が強く、口伝のように伝わっているそうで多くの曲が作者不詳だそうです。
また民族音楽ですので、西洋音楽からは逸脱します。
作曲理論の観点から
まず、聞こえに良くわかりますが、24調ではありません。(長短)
良く使われるのが「ドリア旋法」のようです。(メジャースケール第2音から始まる教会旋法/モードの一つ)
その中でも、アイリッシュ楽器のほとんどが基本D管で、その傾向もあり旋法は「Dドリアスケール(旋法)」が多用されるそうです。
◆アイリッシュフルートで演奏してみるとこんな感じ。
今回の曲も曲中すべてDドリアのみで書いています。
JAZZなどはコード毎にスケールワークを変える。(スケールで楽曲を管理するとも言い換えられます。)という概念のモーダル/モード的な演奏の位置づけになりますが、ケルトの場合違います。
一つのスケールで、コードがそのスケールにあわせていきます。
そのため、コードワークにも注意が必要です。
曲の構成
まず、「この曲はDドリアの曲です。」と言うことを絶えず守る必要があります。
ここが難しいポイントの一つです。ケルト音楽はその独特な雰囲気をこのドリアスケールの響きから得ていると考えられます。
ここを守るためには、JAZZでいうところの中心音(トーナルセンター)を常に「Dドリア」に固定させる必要があります。
まずは、そう聞こえるフレージングから
例えば、Dドリアの場合、構成音はもちろんですがC/Amと同じですよね。
「これらのスケールを演奏しているのではない。」と言うのを音で示す必要があります。
Amの場合はドミナントがE7ですので、G#の変化音が必要なためDドリアを演奏していてそう聞こえる場合は少ないですが、Cの場合はシ>ドの導音解決が存在します。転じてDドリアではこの動きに注意が必要です。
これを出してしまうと、もうCメジャーに聞こえてしまいますので注意が必要です。
旋律を考える。
例を音にしてみます。
Cメジャーの旋律
はい楽器がアイリッシュフルートですのでCメジャーでやってもケルト風味が出ますね!案外こういうのも好きですしやはり24調はそれだけで旋律がぐーんと書きやすいので音楽的にはいけますが、ケルトサウンドか?といわれるとやはり西洋よりの音に聞こえます。
Dドリアの旋律
はい、どうでしょうか。まったく異なる雰囲気になったと思います。
そもそもDドリア旋法は、Dマイナースケール群とほぼ変らない響きを持っていますので、ノートだけ選んで弾けばマイナー感が強く出ます。
例えばナチュラルマイナーの場合、B♭のノートですがこれがBナチュラルです。またメロディックマイナにしたいならC#になります。
これら二つともにはまらないメジャーとマイナーの中間のような響きになります。
そして今回の曲もこの旋律もそうですが、マイナー感を強く出すようなフレージングになっています。
マイナー感を出す場合は、Dナチュラルマイナースケールノートを多様すのがオススメです。逆にフレーズに多くBナチュラルが含まれるほど明るく聞こえます。
ですがくれぐれもB>Cの導音解決を強調しすぎるようなフレージングは避けましょう。(Cに聞こえます。)
管弦楽法的観点からよく聞く上記に無い響きを探す。
ケルトを代表する、ティンホイッスルやアイリッシュフルートは、基本的な指使いで吹けばDメジャーになるそうです。(D管)
これをかんがみるとケルトサウンドの導き方がまた変ってきます。
ケルト音楽の中には明るい響きなんだけど、どこか暗ような印象をうける曲が数多く見受けられます。
これは「ドリア旋法」の響きではないです。これは「ミクソリディアンスケール(旋法)/メジャー第5音から始まるスケール」の響きに感じます。
上記楽器達は、半音階を出そうとすると構造的に無理な場合と非常に難解な運指が必要になるそうです。
唯一Dメジャー外の音で「ドのナチュラル」だけは比較的簡単に出すことが出来るそうです。
つまり、「D>E>F#>G>A>B>C>D」という運指であれば、「D>E>F#>G>A>B>C#>D」の運指とそう変らず難度も低くくなるそうです。
結果、「D>E>F#>G>A>B>C>D」はメジャースケール第7音が半音下降してきますので、ミクソリディアンスケールといえます。
これで書けば、ドリアンスケールよりも明るく聞こえさせることが出来るはずです。(まぁメジャー3thがなりますからね!)
たとえば・・・ミクソリディアン的にケルトをやると・・・こんなカンジかな?
やはり明るく仕上がりますが完全なメジャーではないカンジがいい感じですね。
和音を考える。
こちらは、簡単です。
ただ単純に機能和声からはなれるだけですね。使えるダイアトニックは「DドリアならC・DミクソリディアンならGと同じ」ですよね。
今回は、サイクルを変えるやり方を私はしましたが、sus4なんかをもうすこしとりいれて4度堆積系の和音も入れてもよかったかなぁと思っています。
Ⅱ-Ⅴ7-Ⅰなどの機能和声的ながれは調を決定付けるので避けたほうがぽくきこえるとおもいます。
ケルトの終止はやはり、全音上行が良く聞こえます。Dドリアであれば、C>Dmの流れですね。
Dミクソリディアンでもこのながれで終止感は出ますね。ただし、Dミクソリディアンの場合はC>DmではなくC>Dとなります。(F#ですからね。)
基本的に機能和声上のSD>D やD>SDの流れは使っても問題ないでしょう。やはりD>Tに行くときは注意が必要ですね。
またⅢやⅥをマイナー系和音として各所に突発的にいれても、雰囲気を阻害はしませんね。
ただし、7thやadd9は使いどころを間違えるとJAZZやPops感が出すぎるので注意といったところです。
リズムについて考える。
基本的にケルト音楽は、伴奏と旋律で成り立つことが多いようで、入れてもパーカッションぐらいのようです。
今回の曲にはあえてドラムキットを入れて、どうなるかやってみましたが、やはりちょっと無理があったかなぁと感じます。
「ジグ」について
ケルトを代表するリズムだそうです。
6/8などの複合拍子で演奏されます。今回の曲もこれで書きました。
よりケルト感を出すためには、アクセントを出す位置をフレーズ中/曲中で統一すると良いようです。
「ポルカ」について
単純拍子系は「ポルカ」と呼ばれるようです。
2/4・3/4・4/4 などが使われていますね。ただし3/4の譜面も演奏の仕方が3/8のような演奏に聞こえるものが多かったりします。
単純拍子の場合は、完全に2と4拍にアクセントを出すリズム(トランスとかジャズなんかのハイハットの位置ですね。)を多様するようです。
文章にすると、「ウッターウッターウッターウッター」と言うようなノリで踊りを誘うわけですね。
まとめ
ケルト音楽はなかばフィーリングとユニゾンの音楽の傾向が強く、繰り返しの美学の追及でもありますね。
飽きのこない装飾音が多く含まれるフレーズを、ひたすら続けて楽しむような音楽です。
次は、ハープを使って優しいケルト曲をかいてみたいですね。ポルカで!
では、楽しんでいただけたら幸いでした。また次回お会いしましょう!