DAWにこだわるのは慣れてから
はい、今回は「DAW初心者です。どんなDAWがオススメですか?」という質問に答えてみたいと思います。ちょっと大切なことですので厳しめの書き方になると思いますがご了承ください。
またこの記事は「DAWを本気で(長い目で)しっかりやって行きたい。」とか「メインは別の楽器をやっているが創作活動やデジタル音楽にも強くなりたい。」「一生の趣味として楽しみたい。」など、プロ志向、またはアマ志向・趣味でもプロを凌駕したい方向けとさせていただきます。
完結にまとめますと、初心者さんにとっては悩むだけムダな問題なのです。正真正銘の「DAW」と名乗れるソフトであれば買って損をする事というのはあまりありません。
経験上むしろ、「自分には合わない。」とかなり早期の段階に見切りをつけてDAWを触らなくなってしまったり、ころころと乗り換えてしまう方のほうが金銭的・期間的な損失は大きいと思います。
DAWの差と言うのは、”手触り”のようにある程度触れるようになってからでないと実感しづらい問題があります。例えば…ある操作を行うとき、一方はプルダウンから○○を選択して、△△すしたあとに□□する。と言う手順が必要だとして、もう一方のDAWは、ショートカットキーをポン!っと押すだけ!とかそういう違いがもっと大きいからです。
ですが、初心者さんの場合そもそも「ある操作」にあたる部分自体が「何それ?」というところからのスタートであり、上の比較の意味さえ理解できないものです。
この状態でDAWを吟味してもあまり意味がないです。またそういった差はあれど「DAW」なら基本的な出来ることはまったく変りません。ですので一つでもしっかり触れれば乗り換えるのは比較的簡単なのです。
ですので、もっとも効果的で結果的にもっとも早く上達する方法は「とりあえずある一つのDAWをしっかり触れるようになる。」ことだと考えています。
ですが・・・かといって「適当になんでもいい。」と言うわけでないのです。
適切に選定すれば、スタートダッシュすることも可能です。では私が思うポイントをいくつか上げてみたいと思います。
無料DAW/簡易版DAWは本当はさわらないほうがいい
はい。まずはここが重要です。
オーディオインタフェースやMIDIキーボードに良く付属してくるDAWの簡易版、商品クオリティが上がり且つメインDAW選定に自社の製品が選ばれる確立もあがるこの商法ですが、一部の方を除き・・・特に若い方はこのDAWをがっつりいじるのは待ったほうがいいのです。また、機能制限付きで無料公開されているDAWも同じくあまりよくありません。
なぜか?と思われる方も多いと思います。特にネット上ではこういったものはむしろ賛美される傾向がありますし、事実無料と言うのが信じられないほどのクオリティをもつDAWおよびDAW関連のプラグインは多くあります。(私も複数そういったものを手元においています。それら自体がダメと言う意味でありません。)
が、それはあくまで「出来ている人、わかっている人向けなのです。」
初心者さんや、これから始める方にはあまり優しい環境ではありませんし、ある意味余計な勉強をすることになります。と言うよりもいきなりかなり高いハードルを越えてゆかねばなりません。
例えば、簡易版DAWというのははっきりいってDAWではありません。高機能録音編集ソフト程度までだいたい機能制限されています。
無料DAWなどの厄介なところは、初心者さんでは理解しにくい制限要素を多く含むという点です。例えば「最大トラック16トラックまで(MIDI含む)」「プロジェクトのセーブはできますが、ミックダウン・フリーズ・レンダ・書き出しはできません。」「サードパーティ系VSTは無料版では使えません。」「ASIOドライバは無料版では対応していません。」などなど解らない部分ありませんか?
実はこれらは今後学習を進めていく上で、とても大きな障害になりえる制限だったりします。
スタートダッシュをキメていくには、まず安定した環境が必要です。やはり主要DAWのシェアウエア(製品版)を持っていることが大前提です。
一部レッスン事業者さんなどは、無料のDAWや付属品でも大丈夫です/始められます。などと書かれているところもありますが絶対によくないです。と言うよりも無料ソフトをお金出して学ぶのはナンセンスだとおもいますし、正直値段によっては詐欺に近いいんじゃないかなーとおもいます。(私の価値観が狭いだけかもしれませんが・・・)
最初に買って損のないDAWとは
私は、とにかく最初に買うのなら、MIDI,オーディオ,Mix/Masterこれらが平均して行える汎用的なDAWをオススメしています。
あるジャンルに特化していたりすると、逆にとっても使いにくい印象をうけてしまいますし、今後の応用に若干問題が出る気がします。
ですのでバランスが良く、かつ大事なのは日本語での情報量が多いDAWがオススメです。
また、大抵の主要DAWには2~4バンドル(エディション)の種類があります。最上位/上位/中級/初級とかそんな内訳が多いです。
無理をしても最上位版を持っておくことをオススメします。一切の機能制限がなくかつ追加のソフトやプラグインを入れるときも安心ですし、プリインストール(DAW付属)の音源やFXなどが一定以上揃っているからです。
では、私の経験から3つのDAWを推薦したいと思います。
SONARシリーズ
Cubaseシリーズ
はい。日本でのユーザー数はおそらくダントツの1位だとおもいます。Win/Mac両対応でまずこれを買え!的なDAWです。
私は専門学校時代に、かなり古いCubaseを使っていて、その後去年、ローランドがSONARから降りたのを気にCubase7.5を買い、最近8にバージョンアップさせました。
今のメインDAWといえます。特に今回のCubase8は傑作だとおもいます。以前の旧記事にも載せましたが、個人的にさわり心地はかなりいいです。
デュアルディスプレイなどにも対応するようになり、SONARx2のよさをかなり吸収されてしまった印象です。
このソフトのいいところはとにかく情報が多く、国内外問わずまずこのDAWで使えない関連ソフトはありません。つまりこれを買っておけばほぼ間違いなしです。
もっとも有名なプラグイン規格「VST」の開発元でもあるため最新技術をいち早く体験できます。
迷っている方は、特にwindowsユーザならこれを買っておけば間違いはないでしょう。
Logicシリーズ
公式HP>>>https://www.apple.com/jp/logic-pro/
Macユーザーさんに、絶大な人気を誇る・・・というよりもMacで音楽やっている人なら持っておくべきアップル純正のDAWですね。
私はMacには疎い方で数回しかさわったことがないですが、ある知り合いのユーザーさんからはこのDAWのない製作なんて考えられない。と行っておられました。
魅力はその安さ、2万で買えるし、機能は充実!くーうらやましい。
その反面、やはりMacは追加できる音源などにも一部制限が生じる印象があります。その点は注意してください。事前の情報収集は欠かさないようにしましょう。音源によってはMac対応となっていても、不具合やバグがwinに比べて多く出るイメージがあります。
逆にMacでしか使えないプラグインと言うものもありますが、これはWinユーザー層には名前も知られていないと言うケースもあったりします。
MacベースでDAWを動かす場合は、使用できる追加音源などをあらかじめ調べておいたほうが良いです。(とはいうものの有名なものは問題なく使えると思います。)
その他のDAWはどうなのか?
はい、3つオススメを上げましたがそれ以外にも多くのDAWが存在します。
StudioOneとか、LIVEとかFL-StudioそれからDigital Performer等、新興勢力や特化型のDAWは最近人気ですよね。私は申し訳ないですが、ワンとデジパフォはさわったことがありますが他のは調べたことしかなかったりしますし、やはり日本ではちょっとマイナーな感じがしますので、ファーストコンタクトには向かないと判断しました。
業界標準DAW「Pro Tools」について
公式HP>>>http://www.avid.com/jp/products/family/pro-tools
はい、ここ以外に重要です。Pro Toolsは日本では結構マイナーなイメージがあります。というよりMixやMasteringエンジニアさんに選ばれるDAWという印象があります。
そもそも、Pro Toolsはスタジオ標準ということで、ミュージシャンありき、音をとるのありき、で作られているDAWという印象が強く個人制作向けのDAWではない感がいなめません。
私も少し前のバージョンを借りスタジオでちょっとさわった経験しかなく、詳しく把握しているわけではないのですが、やはりさわりにくかった印象を受けます。
特に、AAXという独自のプラグイン規格が採用されており、特にソフトシンセなどの音源が非常に限られる傾向にあります。(有名どころでも対応していないものがあります。)
自分ひとりで、打ち込みと録音をバランスよく使って制作したい人には実はあまり向かないDAWなのです。
もちろん、さわれるに越したことはありませんが、作曲や音源制作がメインの私にはちょっと手が出しづらいDAWですし、ファーストコンタクトにもあまり向かないDAWだといえると思います。
DAWとは呼びにくいソフト達
値段が安く、作曲補助機能やルーパーメインの音楽制作ソフトがありますがこれらは厳密にはDAWとは呼べない場合があります。確かに支援ソフトとして持っておくのは有益ですがあくまでメインDAWとするのNGです。
また、タブレット型向けアプリも高精度&アイデア満載で面白いですが、今のところやはりPCベースには一歩及ばない感がありますのでこちらもセカンドソフト以降と考えたほうがいいです。
まとめ
日本語圏ではやはり「Cubase」が圧倒的なDAWといえると思います。YAMAHAがバックについてますのでそういった意味でも強いですね。
またYAMAHA関連製品などにおいてはcubaseに限り様々な恩恵を受けられるように考慮されています。(設定が楽だったり、ワンタッチでいろいろできたり)
基盤となるDAWを「ホストアプリケーション」と呼ぶこともありDTMをやる上でのまさしく「基盤」となります。迷ってる方はとにかくマイノリティな選択を避けるようにすれば後々楽です。
またDAWは楽器とおんなじです。毎日さわっていれば自然と上手くなったり、新しい発見があったり、ただ単純になれによる作業の高速化につながります。逆に言えばこれが出来ない人はどのDAWを使っても違いなどほとんどないでしょう。
ですので、少しずつコツコツやっていきましょう。