コードネームは一つでも響きの種類は無限大
作曲の講師をしていますと、コードについての解説やら説明はもはや呼吸と同じようなものになってきます。
コードは理論理屈を極めてしまうと、専門用語によって複雑に聞こえるようにはなりますが、その本質は常にシンプルで味気ないモノに感じるようになります。
ですが実際の音にするということは、1つのコードでも楽器/編成/時間/譜割/音域etc.実に多くの要素存在し響きの可能性は無限大であるということを忘れてはいけません。
ここではコードをかっこよく響かせるためのアイデアをいくつか見ていきながら、様々な響きの可能性を見てみましょう。
それっぽい響きを元に考えてみる
コードは響きの指針であり人間が演奏する場合はそれを基準にして演奏しています。ですがジャンルや演奏する楽器によっては省略したりすることもありますし、勢いを優先させることもあります。
ここではよくあるタイプの響きを元にその特徴を掴み色んなコード感覚を養ってみましょう。
歪んだ音色のメタル・ハードロックタイプ
※音量注意※

最初の8小節はリズムを入れてあります。後半は響きに属する部分だけになっています。打ち込みの状態は画像のような感じです。
ベースはギターのルートにユニゾンしている状態です。
こうした歪んだ音色の場合にはパワーコードという状態のコードを用います。パワーコードとは(R+完全5度)のみのコードでメジャーもマイナーもないワイルドなコードです。
つまり、コードでしっかりとした調性の線引きができません。なのでコードチェンジ=ベースラインの動きと言い換えてしまってもいいのです。
今回のサンプルにも少しだけ入れてあるのですが、ベースのハッキリとした動きが分かればギターなどはスケール内の他の音を演奏して印象を操作することもできます。
これは、ロックやメタルなどのジャンルの常套句です。次のサンプルも聞いてみましょう。
◇ルートはベースに任せるタイプ
※音量注意※

上記の理屈を逆手に取るとこんな響きも作れますよね。歪んだバンド系の音楽では比較的よく聞く響きではないでしょうか?
こちらはルートの移動=コード進行が完結していると考え、コードを意識しつつもリフ的な要素やリズムの要素を強く押し出したパターンですね。
コードトーンがしっかり出るPopsタイプ
◇定番の豊かな響きのPopsトーン
※音量注意※

シンプルなPop系の響きを作ってみました。よく聞くというか普通ですね。
ピアノやアコギを使い和音を上手に響かせていくスタイルです。こういった和音楽器が競合する場合は、片方がコードカッティング(白玉系)の譜割を担当し、片方はアルペジオ(分散和音)などで役割を分けるとバリエーション豊かになります。
逆にどちらも同じような譜割をやってLRに振り分けるなんても聞きますよね。
◇さらにパートを増やすならば…
※音量注意※

よく頂く質問として、スタリングスはどうすればいいですか?とかシンセはどう使えばいいですか?という質問があります。
この質問の答えとして最も正確なのは、すでにある響きがどの程度なのか?を考えねばなりません。
今回の場合はすでにピアノやギターが十分和音感を持っています。こうした場合さらに和音感を積み上げるのは逆に雰囲気を邪魔する危険性があります。
その場合は、上記音源の様に「オクターブ演奏のみ」や「ペンタトニックをつかったシーケンス的なフレーズを入れる」などで和音感を強くせずにたくさんの音色を取り入れて雰囲気を作りましょう。
そうすると同じコード演奏でも派手に聞こえるようになり展開感のつけ方次第では盛り上がりも演出できます。
他にもたくさんのジャンルや響きがある
今回はよく質問されるのもを中心にその考え方をまとめました。いうまでもありませんがこれはほんの一例です。
大切なのはコード進行だけを見てすべてを分かった気にならずに色んな可能性を探してこうやって構築していくことです。
一つのコード進行中にも無限の可能性があります。それを探ることが個々の個性につながると私は考えています。
是非皆さんも研究してみてください。