私のコード進行の着想を広げるやり方

私の基本はPops志向

今日は、「コード進行はどのように思いつかれるのですか?」という質問に答えてみたいと思います。

今でも非常に多い質問です。特にシンガーソングライター志望の方や劇伴を目指される方、ゲーム音楽などから受講される生徒さんに多い傾向があります。

今日の音楽、特に日本のPopsはコード進行を洋楽よりも遥かに意識して作られます。

コード進行のバリエーションで最も多いのはPops志向の考え方です。ついでJazzも多いですが、jazzの場合はⅡ>Ⅴ7などの限定的な流れを用いることがあるため実質Popsが最も使用するコードバリエーションが多いといえます。

古典的なクラシックなどは和声学を意識すると比較的簡単ですので、それがベースとなります。

私が曲を考えるとき、ジャンルという概念を飛ばしますがその際にコードワークを考えるときの思考方法をいくつかお教えしたいと思います。

今は、とにかくシンプル思考

はい。えらそうに前置きしたものの、私は最近はとにかくシンプルに思考することを第一に考えています。

その要因としまして、日本の音楽がどんどん洋楽に侵食されてきていると感じるからです。一昔前のJ-pops(今もですかね。)では派手な転調がしばしば登場するのが当たり前だったかと思います。

半音上への転調や同主平行調への転調(短3度上)などもたびたび登場した印象があります。また、属調への借用和音にいたってはオカズ程度なら探せばすぐ見つかるほどの使用率だったと思います。

現在のアイドルソングの中にも多いのではないでしょうか?私は申し訳ないですが最近のアイドル系邦楽はあまり追いきれていないのでなんともいえませんが、J-Rockシーンでもこの複雑なことをあまりしないというのは優先傾向にあると思います。たとえば・・・

参考例「WANIMA -ともに」

ちょっとサブドミナントマイナーが入り、ベースのスケールクリシェを使っている感じでしょうか?この曲は昔懐かしいスリーピースバンド系の音色の終着点とも言えるサウンドモデルだと思います。

他にもバンドシーンなら「ヤバT」とかも面白いですがこれも楽曲自体はかなりシンプルでよね。
参考例「ヤバイTシャツ屋さん-あつまれ!パーティーピーポー」


この曲も…途中でちょっとサブドミナントマイナーがはいるかなぁ?というところでしょうか?

というよりもパワーコード感が強いのでもうメジャーでもマイナーでもあんま関係ない!というなんともスリーピースらしい音楽構成だとおもいます。

これらから考えて、J-Popsはちょっと複雑になりすぎたため、結果最もお洒落に聞こえるコード進行の雛形などが重宝され始め結果的に売れた曲の和音進行をそのまま使うことが多くなったと思います。

俗に「カノン進行ですね。」これについては今回は関係ないので割愛しますがJ-popでは定番の定型進行だと思います。

また洋楽風の楽曲でも複雑なことをしない楽曲の方が日本人の好みに合っているのではないかと思います。

参考曲「The Chainsmokers - Closer (Lyric) ft. Halsey」


参考曲「Zedd, Alessia Cara - Stay (Lyric Video)」

これらの曲にいたってはコード進行もそうですが、楽曲構造自体が本当に洗練されていて個人的に大好きです。

とにかく音数が少ないのにグルーヴはしっかりしてて、かつ飽きない。音圧よりも音量感を感じるので聞いていて疲れにくいのも特徴です。

実際のコードワークの組み方を考える

まず、シンプルにコード進行を考える場合は、とにかく前例に習うことを忘れないようにしなければなりません。

あまりにも同じ響きは敬遠されますが、かといって奇抜すぎるとPopsとして成立しにくくなります。

まず大切なのはトニックで「Ⅰ/主和音」を多用するかどうか?という問題です。Pops系の音楽はここは大きなポイントだと思います。

主和音Ⅰはとにかく調性を強く主張します。通常特別な理由がない限り、Ⅰ△7などテンションをつけて用いる場合が多いのもそのためですね。

特に気をつけなければならないのが、Ⅴ7>Ⅰ への完全終止形の流れです。

これをPopsではすこし敬遠する傾向にあると考えます。限定進行を守ってしまうことで非常に強い終止感が出てしまいクラシックの終止に近づいてしまうからです。

また、J-Popsでは9thのテンションとSUS4を洋楽に比べ多用する傾向もあります。

逆に現在の洋楽シーンは明確なコードチェンジを嫌っているかのようなコードの扱いをしていますね。正直トップノートとベースの対比だけでなんとなくコードチェンジを取っている、それらをかき消す太いリード(ヴォーカル)やベース、リズム成分が入っていると思います。

また洋楽の場合は、あまり高いテンションを使いません。あとはトラックの変化を空間成分(ディレイやプレートリバーブ)で違いをつけたりすることで、まったく同じコード進行の繰り返しを使い続ける曲が結構あります。

ですので、私はよりJ-popらしさを目指す場合は転調や借用和音なども考慮に入れ組むと同時に、各パートごとにコード進行を変えるように心がけます。そうするだけでJ-popらしくなると思います。また9th/SUS4などをはさみつつ、トニックへの解決も避ける場所ではさけるようにします。

逆に、洋楽のような質感を考える場合コード進行を変えるよりも出来るだけトラックの抜き差しやビートの抜き差しを心がけています。

始め方と広げ方

着想を広げるには、やはり一番良いのは手癖などです。インスピレーションが沸きやすい進行などを少しづつ演奏していきます。

曲の質感がもう既に決まっていたり、アレンジメントなどのお仕事の場合などはある程度、理論優先でとりあえずコードをつけてしまいますが、自分で1から思考する場合にはまず「低音部/ベースラインの動き」から私は考えます。

その上でコードをはめていくことが非常に多いです。メロディを先に作ったときは真逆で、コードをふりその後転回形を考えます。

こうすることで曲がとにかく安定しやすくなります。複雑化したりオカズを入れるのはあとでいくらでも出来ますのでやはりすばやくその曲の全体像をはっきりさせることに注力します。

また私の着想の基本としてやはりコードに目をやる場合にはカデンツの型を考えます。そうすることで曲のイメージを掴みやすくしています。

もちろん、この時どのコードを使って行くかを吟味します。

暗い印象にしたいときはメジャーキーでもマイナーコードを多めに含む進行ににしますし、元々がマイナーの場合はクラシック風の暗さにならないように適度にテンションをⅢ/Ⅵ系の和音をはさみます。

ここで大切なのは、一つのカデンツの印象ではなく一つの楽節の印象を常にみることです。

1カデンツでは非常にかっこよく聞こえても、それを繰り返すととてつもなくつまらなく感じる進行は多いです。つまらないと感じたらコードは同じでもオカズを入れたり、テンションを変えたりと色々試して見ます。

メロディをテンションと見立てる場合はあまり音程差が離れないようにまたメロディ以上に更に強いテンションがこないように工夫し、コードのルートがメロディに来る場合には転回形(オンコード)や代理コードなどで少し工夫して「お行儀のいいザ・基本形の響き」を適度に回避したりしています。

まとめ

少々硬い話になってしまいましたが、基本的にはインスピレーションや自由な発想を一番大切にはしています。

ですが、やはり響きをつける場合には完全に感覚でやるわけにはいかない場合があります。

そんなときは、是非「傾向からの判断」「各パートから攻める」などを参考にしていただければと思います。